うぴうぴうぴ子のホラー日記

ホラー映画大好きうぴ子の映画記録(現実世界の方がホラーレベル高くて怖いホラー映画がないこのごろ)

映画『イングリット ネットストーカーの女』ネタバレ感想

Ingrid Goes West (2017)
おススメ度/★★★★

承認欲求をこじらせ過ぎた女の大暴走劇

SNS依存症のイングリットが、インスタの憧れのキラキラ女子・テイラーを執拗にストーキングし、あの手この手を使っておともだちになるお話です。


うぴ子はSNSは苦手なので一切やりません。SNSは一種のファンタジーだとわかっていても劣等感を刺激されることもあるので…。


強すぎる承認欲求の裏側にあるのは強すぎる劣等感

要するに、ここまで承認欲求をこじらせてしまったイングリットの問題は強すぎる劣等感。

この劣等感を克服しないかぎり、イングリットが本当の幸せを感じることはできないでしょうね。

それではイングリットの劣等感はどこから来ているのか?

劇中に描かれてはいませんが、母親との関係に秘密があるのではないかと思います。

心臓発作で死んだ母親と、友達のような関係だったと話すイングリット。
一見とても良好な関係に見えますが、親と友達のような関係とはいかがなものでしょうか?

友達とは"何でも話すことが出来る存在"だと思いますが、親子の間には言わない方が良いこともあると思います。あくまでも親と子は親子であって友達でないからです。

もし親が子供になんでも話していたら、子供の健全な成長に悪影響を及ぼしかねません。

うぴ子の母は私に何でも話しました。父親への不満や祖母への不満と人生への不満と、実母への不満、愛されなかった子供時代の恨みつらみetc…

それは私に確実に悪影響を及ぼしたと思います。

私にとって父親は父親ですが、母の話を聞く内に父親とは仲良くしづらくなりました。それは父親への嫌悪感からではなく、母への配慮からです。

いつも私は母の愚痴聞き係であり、代弁者であり(母が言いづらいことは全部私に言わせる)、ご機嫌取りでした。

そんな私と母はいつも一緒で、側からは大の仲良し親子に見えたと思います。

ただ、大人になるにつれて私は自分の生きる意味、自分の存在意義、やりたいこともわからなくなりました。

残ったのは大きな虚無感と劣等感です。


話がそれましたが、私はイングリットの母から毒の気配を感じてしまいました。

彼女が人生をやり直すには母との関係を再定義しなおす必要があるのではないかな?と思います。


イングリットの憧れのキラキラ女子であるテイラーも、本当に幸せなのかはわかりません。ただ、彼女はインスタで稼いでいるようなので、ある意味彼女の私生活はお仕事なのかも。


うぴ子的にはこのテイラーと紐夫、そして弟は絶対に仲良くなれないタイプ…。一目見た瞬間『パリピー死ね!』と激しく心の中でつぶやいてしまうレベルです。でも世の中このタイプの人間って多いですよね。

私には友情ごっこで悦に入って遊んでいるようにしか見えません。友達というよりも自分が映える人とつるんでるだけじゃないのかと…。

ハーレイと出会ってからのテイラーの態度の変わりっぷりがそれを物語っていたと思います。イングリットもおバカさんだが、テイラーのあの態度は冷たくていかにもゲロビッチという感じでした。


ばっちり決めポーズのテイラーとぎこちないイングリット

垢抜けなくて、病んだ目のイングリットを演じたAubrey Plaza。
性格の悪さが透けて見えるキラキラ女子を演じたElizabeth Olsen。

どちらも見事に役にはまっていました。

イングリットはおバカで痛いたしくて病んでるけど、憎めないキャラでハラハラしながら見守ってしまいました。(なんだろう?もこっちを見ている感じに近いかも。)

が、テイラーは最後まで好きになれませんでした。終盤のいかにも私は被害者!って態度がゲロビッチ臭を漂わせていて…。あんだけ私生活さらけ出しておいてストーカーこわ〜い!なんて言う権利ないでしょ…。

バカ弟には死んで欲しかった反面、イングリットと、特にダンが犯罪者にならなくて良かった。

LAに来て金も使い尽くし、色々やらかしちゃったけど、ダンと出会えたことはイングリットにとって唯一の救いではないかと思います。

イングリットが今後、ダンに良い影響を受けてセルフエスティームを高め、いつの日か本当の幸せを感じることが出来るといいなと思います。