映画 『バリケード 閉ざされた山荘』
Barricade (2012)
製作国/カナダ
おススメ度/★★★☆☆
心のバリケードをとっぱらえ!
あらすじ
仕事優先だった父親(Eric McCormack)が最愛の妻(Jody Thompson)の死後、妻の思い出の場所である山奥の別荘に子供2人を連れてやってくるが、子供たちは咳をし始め、次から次へと奇怪な現象が起き始める。果たしてこれは現実なのか、それとも…?
ネタバレ解説
とりあえず、精神安定剤をアルコールで摂取するのはやめましょう。
(クロナゼパムはアルコールと同時摂取するとかなり危険らしいです。)
物語は超常現象ミステリーホラーのようでいて、薬とアルコールを同時摂取して、平常心を失った父親・テランスの精神の葛藤を描いています。
劇中、度々現れる妻の回想シーンが、子供たち、そしてテランスにとっていかに妻が大切だったかを物語っています。
その妻の死の原因は終盤まで明かされないのですが、物語の冒頭でテランスの運転する車が轢いたオオカミが妻の死をリンクさせています。
テランスは、オオカミを楽に死なせてやろうと石を手に取りますが、結局殺してやることが出来ず、助けることもせずに見捨ててしまいます。
この辺りから、責任感と行動力のないダメな父親像が見えてきますね。
かわいそうなオオカミ…
終始、子供たちの前では明るいパパを演じていますが、心では未だ妻の死を受け入れられず、抗うつ薬をアルコールで流し込むテランス。
別荘滞在の最初の晩に現れたのは、おそらく妻の幽霊でしょう。
そして、その後の奇怪な現象は妻からテランスへの試練だと思います。
回想シーンからもわかるように、妻はとてもよくできた女性であったことがうかがえます。その妻にテランスは甘えていた部分が大きかったのでしょう。
悲しいことに、よくできた女性ほど男をダメにするものです…。
テランスは別荘にバリケードをはりますが、実際にバリケードに覆われていたのはテランスの心でした。
テランスが妻の死の悲しみと、薬とアルコールで自分を失っている隙に、子供たちの病状は悪化する一方です。
悲しみを乗り越えて、子供たちを守れる強い父親になるために、妻は試練を用意したのではないでしょうか?
現実と幻覚の狭間で迷子になったテランスは最悪の事態に遭遇します。
最悪の事態、それは子供たちの死でした。
深い絶望感に襲われるテランスは『子供たちを守れなかった…』と悔やみますが、そこで『いいえ、あなたは守ったわ』という妻の声が聞こえます。この声によってテランスは現実に目覚めます。
幸い子供たちの死はテランスの妄想か、妻が見せた幻覚でしたが、このもう一つの絶望が妻の死を乗り越えるきっかけをテランスに与えたのではないかと思います。
そう、この映画はテランスが心にはったバリケード(妻の死を受け入れない)を打ち破って成長するお話なのでした。
ホラーというよりも、感動ものかもしれませんね。
ゲホゲホ咳してる人がいたら、とりあえず子供を近づけちゃいけないよね、っていうかせめてマスクしろよ。とうぴ子は思いました。
無事で、良かったね。